【旧車】セリカ1600GT│トヨタ 1970年デビュー、国産初のスペシャリティカー

【旧車】セリカ1600GT│トヨタ 1970年デビュー、国産初のスペシャリティカー


■「名ばかりの“GT”は道を開ける」…トヨタの名車
・モデル名 :セリカ 1600GT
・世代/型式:TA22型
・メーカー名:トヨタ自動車
・搭載エンジン:2T-G型 1588cc・直列4気筒DOHC
 ボア×ストローク85.0×70.0mm 
・最高出力 :115ps/6400rpm
・最大トルク:14.5kg.m/5200rpm
・トランスミッション:5速マニュアル(フロアシフト式)
・サスペンション:前マクファーソンストラット・独立
 +後4リンクコイル・リジッド
・ボディサイズ:全長4165×全幅1600×全高1210mm
・ホイールベース:2425mm
・タイヤ:6.95H14-4PRバイアス
・最高速度:190km/h
・0-400m加速:16.5秒
・車両重量:940kg
・販売時期:1970年
・生産台数:***

ヤマハ発動機と協働で開発した1.6リッターDOHCエンジンである名機「2T-G」を搭載した国産初の本格スペシャリティカー「トヨタ・セリカ1600GT」。当時のカタログには最高速度190km/h、0-400m加速16.5秒と記されていた。

本格的なモータリーゼーションの高速時代に求められる車

1970年12月、国産初の本格スペシャリティカー「トヨタ・セリカ」がデビューした。日本では前年の1969年5月26日に、東名高速道路の最後の未完成区間である大井松田~御殿場間がつながり全線開通。名神高速と併せて東京から大阪まで高速道路で結ばれ、本格的なモータリーゼーションの高速時代を迎えた。そして、国産車の高速化、高性能化が急速に進む時代に突入していた。

1960年代に、トヨタは新車種としてカローラ、そしてコロナ・マークⅡを市場に投入。一般的な公務員やサラリーマンにも急速に自動車生活が浸透し、自動車を所有するライフスタイルが出来つつあった。そこでトヨタは、カローラとコロナの間を埋めることで、乗用車のフルラインアップ化を進める。セダン「カリーナ」の投入だ。

一方で、トヨタは普通のセダンでは満足できない人たち、“スポーティで洒落たなクルマ”を求めるニーズを敏感に嗅ぎ取っていた。そんな欲求に応えるクルマの1台としてトヨタは1967年に「トヨタ2000GT」を世に送り出したが、あまりに贅沢な2座GTカーで、価格は238.0万円。カローラ5台分の価格だった。これでは当時、大卒初任給が4万円程度だった若者に買えるはずもない。

1967年デビューの「トヨタ2000GT」

カリーナと車台を共有するスペシャリティ「セリカ」登場

そこでトヨタはカローラよりもやや大きい新型ファミリーカー「カリーナ」とプラットフォームとシャシー、パワートレーンを共用して開発費を抑えたスペシャリティカーを企画した。1969年10月24日、東京・晴海で開催された第16回東京モーターショーで発表した「EX-1コンセプト」だ。そのEX-1は翌年の12月にデビューする。

それが、初代「トヨタ・セリカ」である。セリカは1960年代にデビューし、米国で“ポニーカー”の愛称で親しまれ大ヒットしたフォード・マスタングの企画戦略に倣って設計された。プラットフォームの共有化だけでなく、普通のセダンである「カリーナ」からエンジンやミッションなどのパワートレーンをも移植して価格を抑える手法だ。

ポニーとは、裕福な牧場オーナーが、その子どもに乗馬練習用として与えた小さな馬のことで、そこからマスタングはポニーカーと呼ばれ、ポニーカーは、米国の富裕層が子供に買い与えるクルマで、スポーティかつ価格が比較的安い運転練習用のクルマの呼び名だった。

「フルチョイス・システム」は普及しなかったが……

セリカは、その初代フォード・マスタングが採用していた「フルチョイス・システム」を導入した。つまり、エンジンやトランスミッション、エクステリア、インテリア、その他オプションを組み合わせ、自分だけの「セリカ」が構築できるシステムだった。洋服に例えるとオーダーメイドともいえるシステムだが、時期尚早だったのか、ユーザーの理解がなかなか追いつかなかったのも現実で、十分に機能したとは言えなかった。

しかし、ショーモデルそのものの「EX-1コンセプト」を受け継いだ「セリカ」の斬新なスタイルは大いに人気を集めた。

フルチョイス・システムはスパルタンな上位モデルのGTには適用されず、それ以外のグレードに導入された。写真はST

また、トヨタはそれまでに市場に放たれたスポーツモデルであるトヨタ2000GTをはじめ、初代日産シルビアやトヨタスポーツ800、ホンダS600/800などの販売面での失敗をしっかり分析していた。

自動車社会が成熟に向かっていたとはいえ、まだ日本でクルマは「一家に一台」がやっとの時代だ。2座スポーツは「カッコ良く、話題性もある」けれど、マス販売に結び付かない。ところが、セリカは定員5名のスペシャリティカーだ。実際は「2+2」のスポーティクーペで、後席は小学生の子どもがやっと乗れる程度だったが、自動車文化がまだ未成熟な時代に「いざとなれば4人乗れる」のは、大きなメリットだった。そして、スポーティモデルとしてヒット作となる。

セリカ以降のスペシャリティモデルは、ほとんど「2+2」スタイルを採る。大ヒット作のトヨタ・ソアラしかり、日産シルビア、デートカーとして名を馳せたホンダ・プレリュードなど、いずれも「2+2」だ。セリカと同時期の70年にデビューした日産フェアレディZも本格2座スポーツとして登場したが、途中からフェアレディZ(S30型)のボディをストレッチした「2+2」モデルが追加された。まだ、そんな時代だったのだ。

画期的なDOHCユニット「2TG」

初代セリカには以下の4種のパワーユニットが搭載された。1407cc・OHVのT型エンジン、そのボア×ストロークを拡大した1588cc・OHVの2T型エンジン、そのツインキャブ仕様の2T-B型。そして、最上級のグレードの1600GT(TA22型)には、2T型をベースにヤマハ発動機と協働で開発したツインカム(DOHC)ヘッドが載った1588cc・直列4気筒DOHCエンジンの2T-G型だ。そして2T-G型DOHCエンジンこそ、新時代の幕開けを飾る新型セリカのために開発された“特別な”エンジンだった。

その2T-G型DOHCユニットのスペックを紐解くと、気筒あたり2バルブのDOHCながら、トヨタ2000GTのエンジンを彷彿とさせる黒い結晶塗装が施された美しいDOHCヘッドが載り、ミクニ・ソレックスのツインキャブレターが当時の有鉛ハイオクガソリンを供給。1588cc直列4気筒は、115ps/6400rpmの最高出力と14.5kg.m/5200rpmの最大トルクを発揮した。この数値はOHVツインキャブの2T-B型の105psに比べて驚くほどの高性能だったわけではない。が、トヨタの意図は、エンジンのポテンシャルを限界まで引き上げるよりも、一般的な街乗りをも考慮し、低回転域での扱いやすさを高め、同時に信頼性と耐久性を兼ね備えた見た目にも美しいDOHCエンジンとして開発したようだ。
組み合わせたトランスミッションは3速や4速が一般的だったその時代に、GTはスポーツを意識させるフロアシフトの5速マニュアルだった。

豪華装備を満載した「1600GT」

そのセリカ1600GTは、豪華装備も自慢だった。バケット形状のスポーティなシートに6眼メーター、パワーウィンドウ、FMラジオなどが装備され、ラインアップのなかでもっとも高価なグレードにもかかわらず、シリーズで最量販グレードとなる。同じ年にデビューした2代目カローラ・セダンの廉価版が43万8500円だった時代に、セリカGTの価格は約2倍の87万5000円だった。1972年のマイナーチェンジで1600GTのパワーウィンドウなどの装備を簡略化することで軽量化し、専用のハードサスや185/70HR13サイズのラジアルタイヤで足回りを固め、走りに徹したグレードであるGTVを追加した。

その後、セリカは1973年4月に、追加車種としてテールゲートを備えた「セリカ・リフトバック」を追加。同時に、2リッター4気筒DOHCエンジンの18R-G型が搭載される。このエンジンは最高出力145ps/6400rpm、最大トルク18.0kg.m/5200rpmを発生し、当時として国内トップクラスの性能を誇った。そして、最上級グレードのセリカLB2000GTもヒット作となる。

名ばかりの“GT”は道を開ける

そのころ日産の人気モデルでケンメリの愛称だった日産スカイラインGTの搭載エンジンが直列6気筒のL20型で、排気量は同じながら4気筒18R-Gエンジンより出力が低い130psだった。これをネタにTVコマーシャル映像でトヨタは、18R-G搭載車がドリフト走行する刺激的な映像のバックで「名ばかりの“GT”は道を開ける」というナレーションを被せてスカイラインGTを挑発した。

トヨタ製DOHCエンジンの2T-Gと18R-Gの2基は、ソレックス・ツインキャブ仕様でスタートし、後年はトヨタ独自の電子制御燃料噴射装置、EFIに換装しながら排気ガス規制を乗り越え、1982年代に登場する新世代4バルブツインカムエンジン「4A-GEU型」登場まで、トヨタ製スポーツモデルを支える主力DOHCエンジンとして君臨した。初代セリカのために開発したヤマハ&トヨタ協働のツインカム2T-G型エンジンは、70年代トヨタ製「テンロクの名機」だった。

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