ステレオ時代の心のふるさと 岩手県の三共無線 Part2…ビッグガレージ

ステレオ時代の心のふるさと 岩手県の三共無線 Part2…ビッグガレージ

専務に案内された『ビッグガレージ』は本店の裏手にある巨大な倉庫(?)でした。いや商品が満載されたれっきとしたお店なのですが、その在庫量は完全に飽和状態。きちんとした陳列はほぼ諦めている感じです。


おそるべきカオス空間

店の天井を見上げると、ロフト状のデッキが、ちょうど床と天井の中間くらいにありました。荷物がいっぱいあるのが見えますが、そこに登れば全体が見渡せそうでした。そこで専務に「あそこに登ってもいいですか」と尋ねると、「ああ、無理です。階段も在庫で埋まっているので…」。しかも2階にどんなものがあるのかは、専務でも分からないそうです。

といっても、イメージがわかないと思いますので、2015年4月に再訪した際に撮らせていただいた写真を紹介しましょう。

ビッグガレージのほぼ中央、中2階のデッキから四方を撮影したものです。これでも2014年の初訪問時より在庫は相当減ってます。以下、ふたたび2014年の写真です。

こちら入り口ほど近くの会計カウンターです。当時は三共無線を甘く見てました。大きいとはいえ、1店舗。2~3時間もあれば取材は終わるだろうと思っていたのです。まさか日本にこんな店があるとは…。ちなみに会計カウンターより奥から入り口の方を向くとこんな感じ。

もちろんオーディオが多いのですが、日用雑貨や骨董品も多く、まさにカオス。

真空管にオープンリール、見る人が見ればお宝が並びます。ちなみに私は守備範囲外なので、あまり触れません。

会計カウンターから数メートルも進むともはや通路は実質消滅します。足の踏み場もない、とは良く言いますが、本当にそういうこともあるんですね。もはやカメラマンはついてきません。

迷子になりそうになりながら分け入ります。嫌がるカメラマンを無理やり奥に引き連れ撮った写真がこれ。

狭い範囲しか写ってないのは、モノがいっぱいでこれ以上下がれなかったからです。「撮れない!」とキレるカメラマンと険悪な感じになりながら、なんとかシャッターを何回か押してもらいました。

あとから写真を見て、「なんで買ってこなかったんだろう」と後悔した商品が多数ありましたが、この時はもう正常な判断は不可能でした。

いま人気のラジカセも、ホコリまみれで山積み。ちなみに写っているのはごく一部です。ポータブルテレビやラテカセもこのとおり。

中古レコードもこのとおりです。昭和歌謡の充実ぶりは半端ないです。とくにドーナツ盤がタダみたいな値段で売られてます。時間があれば何時間でも掘れます。

『昭和』を集めたテーマパーク

先にも述べましたが、『ステレオ時代』で紹介した直後、全国からお客さんが殺到し、めぼしいものは売れてしまったとのことでした。その後何度か伺っていますが、最近の三共無線さんは、在庫の数こそ以前のように豊富なのですが、整理されてとても見やすくなっています。

それはとても良いことなのですが、以前のような『ごちゃ』っとした感じも懐かしく思い出されます。初めて行った時の気分は未盗掘のピラミッドを発見した感じ、というのが近いのではないでしょうか。

懐かしくも不思議な空間。オーディオだけでなく、家電、日用品、すべてが子供~青春時代を思い出させるものでした。あのころ憧れたモノや生活。それがぎっしり詰まっていたのです。それも博物館のように買えないものではなく、アンティークショップのように法外な値段でもなく、ほどほどの値段で、人生を振り返ることができる。それが三共無線なのです。

前回から申し上げていますが、ここで紹介したのはまだ在庫に溢れ、整理すらままならない頃の三共無線の貴重な写真です。その後、他の本やテレビなどで紹介され、ちょっと洗練された三共無線ではない、まだ混沌とした雰囲気をお楽しみいただけましたでしょうか。

もっとも三共無線のコンセプトは今もいささかも揺るがず、矢巾に健在です。もっと見やすくなった三共無線、お近くにいらした際はぜひ覗いてみてください。度肝を抜かれること請け合いです。

取材協力

岩手県盛岡市|三共無線 株式会社 [オフィシャルサイト]|オーディオ販売、レコード販売、

http://sankyo-musen.com/

岩手県盛岡市にある三共無線株式会社のオフィシャルサイトです。オーディオやレコード、スピーカー、音を求めるに人のお手伝いをさせて頂いております。

ゴールデン横丁の仲間たち | 澤村 信(さわむら まこと)

https://goldenyokocho.jp/articles/675

かつてのオーディオブームを体験した世代にはたまらないムック本『ステレオ時代』(ネコ・パブリッシング)の編集長。ゴル横会長たっての願いを快く受け入れ、オーディオ愛あふれるコラムをゴル横に書き下ろしていただくことになりました!

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