パイオニア 24時ステレオ カタログ

パイオニア 24時ステレオ カタログ

家電蒐集家松崎順一さんが考古学的アプローチで昭和時代の様々なカタログを読み解くコーナー。今回は重厚だったステレオをオシャレ目線からアプローチしたパイオニアの24時ステレオのカタログを取り上げます。


ハードボイルド全盛1970年、オーディオにファッョンとインテリアの提案は斬新だった。

1970年といえば、日本初の万国博覧会である大阪万博が開かれた年だ。この万博には当時小学生だった筆者も親父に連れられ行ったことがある。パビリオンに入ったかどうかの記憶はないが、太陽の塔が鎮座するお祭り広場のスケールの大きさと人の多さに、鼻血を出した事だけはなぜか覚えている(笑)。

そんな70年は万博の開催によって時代の変換期だったように思っている。筆者の好きなオーディオもウッド調の製品が主流でテレビなどと同様家具調の重厚なものがほとんどだったが、その中にも次世代の香りがする4チャンネルステレオなど技術革新も進んでいた。

今回紹介するのは、パイオニアの1970年のステレオのカタログだ。ほとんどのメーカーが性能重視が多かった中、オーディオの世界観をモダンなイラストで表現したもので、今見てもとても新鮮である。

それでは実際のカタログを見てみよう。

表紙からファッション的なイラストで迫ってくるイメージ重視のカタログだ。
キャプションの文章は文脈で理解できるが、「ジャズ魂」「血を湧かすサウンド」などの表現はユニーク。

また、24時ステレオのロゴは、コンピューター的なレトロな雰囲気が漂う。しかし1970年にはまだパソコンはなく、60年代にアメリカの銀行などで発行していた小切手のフォントが元祖らしい。レトロな未来感がいい雰囲気だ。

それではカタログを開いてみよう。見開きでまず目に飛び込んでくるのはページの半分を占めるカラーのイラストだ。ファッションは当時のトレンドが描かれている。カタログには4種のラインナップがあり、それぞれのイメージ似合うイラストが掲載されている。

まず最上位価格のE-5000「凝っている男の5点式」が泣ける。この時代はレシーバー(アンプとチューナーの一体型)が主流だったのでアンプとチューナーの分離タイプは新鮮だったと思う。
ちなみにイラストのテーマは「若者たちのロマン」と言ったところだろうか(笑)

そして次のページは4点式の「若者が気どって聴く」E-3000だ。価格の帯のキャプションがさりげなく面白い。こちらの製品からレシーバータイプになっている。このラインナップでも当時はかなり高価で、上級バージョンはローズウッドと仕上げが凝っているのが分かる。

ちなみにイラストのテーマは「マリンスポーツ」だろうか。またどのイラストにも製品がさりげなく描かれているのに気づきましたか。

さらに次のページは24時ステレオのメインモデルで「生まれ変わったベストセラー」のE-1000DXだ。当時流行ったスタンダードな組み合わせで、この時代まだカセットデッキはなく、始まったばかりのFMラジオとレコードが中心だった。ただ、この時代FMラジオはクラッシック中心のNHKと高校講座が多かったFM東京だけでかなり寂しかった記憶がある。

また、イラストはマリンスポーツではなく、陸上を風を受けて走るブローカートでこの時代にはオシャレな乗り物だ。E-1000DXとはあまり脈略はなさそうだけど。

そしてラストは廉価版で異色の8トラックを搭載したその名もE-1000-8だ。こちらは当時車などに主に搭載されていたカーステレオの8トラを自宅でも演奏できるシステムだ。パイオニアは8トラックも強く、その得意分野を生かした、まさにイージーリスニングモデルだ。イラストは8トラックと来ればやはり車なのだろう。

裏面はそれぞれのモデルの仕様表だ。オプションはオープンリールデッキとヘッドフォンだ。ちなみにヘッドフォンはテレビドラマ「傷だらけの天使」でショーケンが装着していたモデルだ。
今回は販売店の印を消さないで載せてみた。当時秋葉原の石丸電気にあったカタログだ。

出典: パイオニア「24時ステレオ」カタログ  (1970年)

ゴールデン横丁の仲間たち | 松崎 順一(まつざき じゅんいち)

https://goldenyokocho.jp/articles/676

家電蒐集家・デザインアンダーグラウンド工場長。1960年生まれ。インハウスデザイナーを経て2003年よりデザインアンダーグラウンドを設立し活動を開始。近代家電製品の蒐集・整備・カスタマイズ等を手掛ける。近年は特にデジタル世代へのメイド・イン・ジャパン家電の持つ魅力をカルチャーとして伝える活動をイベント、執筆等、広範囲に展開中。

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